気候変動への対応
気候変動に関する取り組みの背景
本資産運用会社は、2015年に採択されたパリ協定を経て生じた気候変動をめぐる社会動向の変化や意識の高まりを踏まえ、不動産の運用を通じて気候変動対策に努めていくことが、SDGsや本投資法人の本質的な発展に資するものと認識し、経営課題として取り組むこととしています。
TCFD提言への賛同
本資産運用会社は、2022年1月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同表明し、TCFDコンソーシアムに加入しました。TCFDの推奨する以下の開示項目を踏まえ、本投資法人の気候関連情報の開示に努めてまいります。
4つの提言 | 11の推奨される開示内容 | |
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ガバナンス | 気候関連のリスクと機会に係る組織のガバナンスを開示する |
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戦略 | 気候関連のリスクと機会がもたらす組織のビジネス、戦略、財務計画への実際のおよび潜在的な影響を開示する(その情報が重要である場合) |
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リスク管理 | 気候関連リスクについて、組織がどのように識別、評価および管理しているかについて開示する |
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指標および目標 | 気候関連のリスクと機会を評価し管理する際に使用する指標と目標を開示する(その情報が重要である場合) |
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ガバナンス
気候変動リスクへの対応はESGへの取り組みの一つとしてREIT運用本部ESG委員会において推進しています。ESG委員会の内容については、重要性に応じて投資法人の役員会・資産運用会社の取締役会に報告されます。
本投資法人のガバナンスについては、下記よりご覧ください。
戦略
トーセイ・リートが想定する4℃/2℃未満シナリオの世界観
シナリオ作成は、本資産運用会社が運用を受託するトーセイ・リート投資法人に関し、その保有する資産の運用・資金調達に関わる部分に限定して実施しています。
また、シナリオ策定に際し、国際機関が公表している将来的な気候予測のシナリオ等(物理リスク:IPCC RCP8.5*、移行リスク:IEA SDS**)を参照しています。
4℃シナリオ | 2℃未満シナリオ | |
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自然環境 |
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投資家・金融機関 |
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技術 |
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顧客 |
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政府 |
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その他 |
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- ICPP(国際気候変動に関する政府間パネル)が示した4つのシナリオのうち、今後もGHGの排出量を削減しなかった場合のシナリオ
- IEA(国際エネルギー機関)が定める持続可能な開発シナリオ。クリーン・エネルギー政策や投資が大規模に展開され、世界のエネルギー供給システムはパリ協定など持続可能な開発目標達成に向けて順調に進展すると想定
トーセイ・リートのリスク・機会と影響
本投資法人は、2100年までに気温上昇が4℃程度まで上昇するシナリオ、2℃未満程度まで上昇するシナリオの2つを選択し、検討・分析しています。
項 目 |
分類 | 事業環境の変化 | リスク・機会 | 発生 時期 |
4℃ | 2℃ 未満 |
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影響度 | 影響度 | |||||
物 理 的 リ ス ク |
急性 | 異常気象の激甚化 | 物件価値や収益性の低下 | 短-長期 | 大 | 小 |
建物の風水害の発生による修繕コスト増加 | 短-長期 | 大 | 小 | |||
東京経済圏の投資比率が高く、局地的な被害発生時の影響割合が大きい | 短-長期 | 大 | 小 | |||
損害保険料の増加 | 短-長期 | 大 | 小 | |||
慢性 | 平均気温の上昇 | 空調費用等操業コストの増加 | 長期 | 大 | 小 | |
海水面の上昇 | 海抜の低いエリアの物件に対する災害防止工事コスト発生 | 長期 | 大 | 小 | ||
移 行 リ ス ク |
新たな規制 | 炭素税の導入・カーボンプライシングの浸透 | 税負担を含む運用・調達コストが増加 | 中-長期 | 小 | 大 |
省エネルギー機器への設備投資 | GHGの排出規制への対応のため、設備機器の更新コストが発生・償却負担増加 | 中-長期 | 小 | 大 | ||
貸室のリニューアルコスト | 原材料コスト、工事時廃棄物の廃棄コストの上昇 | 中-長期 | 小 | 大 | ||
技術革新 | 低炭素技術の進展 | 低炭素技術の活用に失敗あるいは遅れをとるリスク | 中-長期 | 小 | 大 | |
市場 | 投資家・金融機関の評価 | 投資やファイナンスに際して、建物の環境性能やESGへの取り組みが考慮され、円滑な資金調達に支障が生じる | 短-中期 | 小 | 大 | |
テナントニーズの変化 | 低炭素化ニーズの高いテナント(上場企業等)が入居する建物の選定にあたり、建物の環境性能や防災能力が優先され稼働率が低下 | 短-長期 | 小 | 大 | ||
化石エネルギー需要の変化 | エネルギー調達コストの増加 | 短-中期 | 小 | 大 | ||
評判 | 投資家・金融機関の評価 | 気候変動への対応やESGへの取り組みが不十分で市場からの評価が低下 | 短-中期 | 小 | 大 | |
機 会 |
資源の効率性 | 低炭素社会への移行 | 築年数が経過した物件に対しても、LED化や空調機器更新等を実施し、環境負荷とエネルギーコストを削減 | 短-長期 | 大 | 大 |
エネルギー源 | 脱化石燃料の進展 | 再生エネルギーの導入によりエネルギー調達コスト削減。再生エネルギー・省エネルギーに対する優遇税制 | 中-長期 | 小 | 大 | |
技術革新 | 低炭素技術の進展 | 空調性能の向上や再生エネルギーへのアクセシビリティ改善などの技術革新の恩恵を受け、エネルギーコストが低下 | 中-長期 | 小 | 大 | |
商品とサービス | 環境認証 | DBJ Green Building 認証等の取得によりテナントからの支持・収益性向上 | 短-長期 | 小 | 大 | |
市場 | 投資家・金融機関の評価 | 建物の環境性能やESGへの取り組みが評価され、グリーンボンド等のグリーンファイナンスにる資金調達手法が拡大し有利なファイナンスが供与される | 短-長期 | 小 | 大 | |
テナントニーズの変化 | 賃料水準に見合った環境性能や防災能力を整備し競争力確保。稼働率向上 | 短-長期 | 小 | 大 |
- 短期:1~3年程度、中期:3~10年程度、長期:10~30年
リスク管理
気候関連リスクと機会を識別・評価するプロセス
- 本投資法人の気候変動に関するリスクと機会については、本資産運用会社のREIT運用本部ESG委員会において識別し評価されます。
気候関連リスクと機会を管理するプロセス
- REIT運用本部ESG委員会は、特定・評価された本投資法人のリスクと機会について、対応計画を策定し、その進捗状況の管理・モニタリングを行います。
全社リスク管理への統合状況
- 本資産運用会社では、全社リスクの統合的な管理について、取締役会直属のリスク・コンプライアンス委員会が担っています。
- 全社リスクの中で特に重要性が高く、 TCFDの提言による枠組みに基づき管理すべき本投資法人の気候変動に関するリスクと機会については、取締役会の監督の下、 REIT運用本部ESG委員会が所管します。REIT運用本部ESG委員会は、必要に応じてリスク・コンプライアンス委員会と共有し連携することにより、当該リスクは全社リスクの統合的な管理プロセスに組み込まれます。
指標と目標
本投資法人は、資産運用を通じて気候変動による環境負荷軽減を図るため、以下の指標と目標を掲げ取り組んでいます。
2030年度までの目標 | ||
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エネルギー消費量 | 35%の原単位削減 | |
水使用量 | ||
GHG排出量 | ||
環境認証 |
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実績については、下記よりご覧ください。